介護食マイスター資格は、福祉施設等での仕事や生活に役立つ、介護食と高齢者の食事、栄養についての基礎的な知識を有していることの認定資格です。
介護食マイスター資格で学べること
介護食とは、介護を必要とする主に高齢者向けの食事のことです。
高齢になると、咀嚼(かむこと)、嚥下(飲み込むこと)などの機能が弱くなります。
そのため、固い食べ物や、ゼリー、お餅などの詰まりやすい食べ物ではなく、柔らかく煮たり、細かく刻んだりして食べるなど、食事のとり方について色々と注意する点があります。
これらの課題や栄養面に配慮された食事が「介護食」です。

福祉施設で提供される食事というイメージかもしれませんが、実は介護食マイスター資格をとるにあたって学習する内容は、次のようなものです。
- 介護食を始めるタイミング
- 介護食の種類や調理の仕方
- 高齢者にとっての食事と栄養の基礎知識
- 被介護者の状態に応じた介護食
- 経管栄養の種類と手順、流動食の種類と特徴等
- 食事介助の手順やポイント
- レトルト食品の活用、そのメリットとデメリット
- フードプロセッサーなどの調理器具の活用方法
高齢者向けの食材・食事を学習
【高齢者と食事】
私たちはあまり意識せずに普段の食事をとっていますが、介護を必要とする高齢者にとっての食事は、大切な栄養補給です。高齢者に特別な食事が必要な理由は、大きくわけて以下のような点にあります。
- 加齢によって食が細くなる方が多い
- 噛んだり、飲み込んだりという基本的な動作が弱くなってくる
- 歯がない人も多く、人によって食事量がまちまち
- 一度にたくさん食べられないため、少ない食事量で栄養を充分にとる必要がある



これらの点をカバーして、高齢者がバランス良く栄養をとるには、さまざまな工夫が必要です。
食べやすくする工夫 | 噛み切りやすく、柔らかく、飲み込みやすくするための切り方や調理方法、加工方法について |
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見栄えをよくする工夫 | 食欲をそそるための見栄えにする工夫。 例えば、ムース食などを型に入れておいしく見せるコツなど |
食材の工夫 | 少量でより多くの栄養を取れる、栄養価の高い食材選びやレシピ |
【なぜ介護食に専門知識が必要なのか】
噛んだり飲み込んだりするのが大変なのであれば、はじめからミキサーのようなものでペーストにしたら良いのでは?と安易に考えてしまいがちですが、ここに大きな落とし穴があります。
噛むことを全くしなくなってしまうと、高齢者の「噛んだり飲み込んだりする機能」はどんどん低下していき、本来は噛んで食べられた人が、ペーストの食事しか取れなくなってしまいます。
見た目にも、お皿にドロドロした食べ物ばかり並んでいるのを想像したら、あまり美味しそうに見えないのではないでしょうか。
このような観点からも、「好きなものを、おいしく食べられる状態を長く維持する」ことは、高齢者が楽しく生きていくために大変重要なことです。
この考え方は、健康寿命を伸ばし、介護者の負担を軽減することにもつながるため、多くの高齢者施設でも重要視されています。



介護食マイスター資格は、被介護者の状態を見極め、その状態に合わせて最適な介護食を提供するプロフェッショナルなのです。
食事介助を深めて学べる
【実は大切な「食べさせる」技術】
いわゆる「レシピ」、「献立を作る」、「料理を作る」ということに加えて、介護食マイスター試験では、食事介助についても学んでいきます。
被介護者の状態によって、介護食の種類を使い分ける必要があるということを前述しました。
自分の手で食事が取れない場合には、食事を口に運んであげる必要がありますが、この方法を学ぶのが食事介助です。
- スプーンの形状やサイズ
- 一度に口に運ぶ量
- スプーンの運び方や抜き方
- 食べる側の姿勢の取り方
被介護者の状態によってこれらの適切な分量が異なり、注意すべき点はたくさんあります。
食事介助の方法を誤ると、誤嚥したり、食事中にむせてしまったりといったことにつながってしまうため、介護をするうえで大変重要なポイントになります。
福祉施設では、食事の時間や対応できるスタッフの数も限られています。食べる側の姿勢や、飲み込む能力に応じた食事介助の正しい方法を知ることによって、スムーズに食事を摂れるようになり、うまくコミュニケーションが図れるようになります。
栄養吸収を意識した献立作りに生かせる


【日常生活にも生かせる栄養知識】
介護食マイスター試験において学ぶ栄養や介護食、食事介助に関する知識は、福祉関係のお仕事だけではなく、私たちが日常的にとる食事にも大いに生かせる知識です。
これからの時代、自分やパートナーの両親を自宅で介護することも必要になってきます。
日常生活の中で、介護の負担をできるだけ感じないようにしながら栄養をとり、家族全員の健康を維持していくことはとても大切なことです。
【介護食の知識は、誰もが必要になる時代】
介護食に関する知識は、高齢者施設だけで生きるものではありません。例えば同居している高齢者が、噛んだり飲み込んだりすることが少しずつ難しくなってきた場面を考えてください。
家族で同じ食事を取りながら、切り方、作り方を工夫して食べやすくすれば介護食になります。栄養価の高い食事をいかにおいしく取るかという知識を持つことは、家族の健康を考える上で欠かせないことです。
このように介護食マイスター資格では、介護の負担をどのようにうまく減らしていくかという視点についても学べるようになっています。



レトルト食品などの効果的な活用方法や注意点についての学習もそのひとつです。
介護食マイスター資格は、福祉施設、高齢者施設で働くために有利なスキルであるだけでなく、高齢化社会の中で、栄養吸収に配慮した食事をとり、高齢者と共に生きる、介護と向き合っていくという、今後の暮らしに必要な知識を得るための資格なのです。
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