介護食作りインストラクター資格とは、高齢者に食の楽しみや健康維持につながる食事を提供するため、専門的な知識と技術を習得したことを証明できる資格です。
この記事では、介護食作りインストラクター資格で身につけられる内容をまとめています。
より詳細な内容を知りたい方は、是非資格公式サイトもご覧ください。
介護食作りインストラクター資格が求められている理由
現在の日本は、超高齢化社会であり、先進国の中で最も早いスピードで高齢化が進んだ国です。2020年の総務省の調査では、75歳以上の人口は1800万人を超えており、総人口の15%以上になっています。
また、日本の生活習慣や医療技術の進歩もあり、平均寿命は延びていて、今後も高齢者の割合はますます増加していく見込みです。
しかし日常を制限されず、健康的に生活が送れる健康寿命と平均寿命との間には10年ほどの差があり、介護にまつわるスキルはどんどん需要が高まっています。
その中でも介護食作りインストラクター資格は、高齢者に合った食事を提供できる知識と技術を習得できる重要な資格です。
人は歳を重ねると、咀嚼機能や内臓機能の低下といった身体的変化が起ります。加えて心理状態にも変化がおき、通常の食事が適さなくなります。
介護食作りインストラクター資格は、そういった高齢者に食を楽しむことと健康を維持するために必要な介護食の知識を習得します。
介護や医療関係者はもちろん、家族の介護をしている方にも役立つ資格です。
調理を重点的に学べる資格
介護食において、調理はとても重要なポイントです。
今まではおいしく苦労することなく食べられた食事も、加齢とともに噛む力や飲み込む力が低下していくため、思うように食べられなくなります。
これを嚥下障害といいます。
嚥下障害には3つの原因があります。
- 器質的原因(口腔内から胃まで食べ物の通過を妨げる構造上の問題)
- 機能的原因(食べ物を飲み込むときに使う筋肉や神経に問題)
- 心理的原因(うつ病など、心因性の疾患が問題)
症状にはこのようなものがあります。
- 食事中むせる
- 固形物を噛んで飲み込めない
- 食事をすると疲れる
- 最後まで食べきれない
- 食後声が枯れる
また嚥下障害が引き起こす「誤嚥性肺炎」は、高齢者の死亡原因として多くの割合を占める病気です。
物を飲み込む嚥下機能が衰えることで、口から食道に入るべきものが気管に入ってしまい、肺の中で細菌が繁殖して炎症を起こします。
このため介護食に求められることは、高齢者でも食べやすい調理の仕方です。
食材を細かく刻んだり、飲み込みやすいようやわらかく煮たり、とろみをつける工夫が必要です。
調理を工夫せず、食べられないからといってそのまま放置しておくと、体重の減少や体力の衰えにつながります。
介護食作りインストラクター資格では調理を重点的に学び、実践ですぐ使えるスキルを習得できます。
食後の口腔ケアも意識した食事を
食物残渣は、食後口の中に残された食べ物などの残りカスのことです。噛む力や飲み込む力の低下、唾液量の減少が原因で食べ物が口の中に残ります。
口腔内に食物残渣があると雑菌が繁殖し、虫歯や歯周病になります。この2つの病気は歯を失う二大原因です。
特に歯周病は、歯肉の炎症が全身に多くの影響を与えると昨今の研究で明らかになっています。日本の成人の80%がかかっているといわれる国民病のひとつです。
人生100年時代と言われている現在、高齢者が自分の歯でおいしく楽しく食事することは、健康寿命を延ばすことにつながります。
介護食作りインストラクター資格では、高齢者の食後の口腔ケアのことを考えた食事作りの基礎と応用が学べるようになっています。
高齢者の噛む力や飲み込む力に合わせて作る食事は、食物残渣の予防にも効果的なのです。
嚥下しやすい食事をもっと深めて学ぶ
毎日の食事にはバラエティーに富んだ食材を使って、食事の楽しみも味わってほしいのですが、食材にはもともと嚥下しにくいものもあります。
特徴 | 代表的な食材 |
口腔内にくっつきやすい | 焼きのり、あんこ、パン |
噛み切りにくい、硬い | たこ、ごぼう、こんにゃく |
水分が少なくパサつく | 高野豆腐、カステラ、いも類 |
口の中でバラバラになる | ひき肉、れんこん、かまぼこ |
さらっとした液体 | お茶、みそ汁、ジュース |
ただし嚥下障害を気にするあまり、これらを避けて食事を作ることは、嚥下の面では安心ですが、栄養の偏りに繋がり、毎日のメニューも単調になります。
ひき肉であれば丸めて焼くハンバーグが向いており、ひき肉単体で使う場合は、とろみをつけると嚥下しやすくなります。
介護食作りインストラクター資格では、このような嚥下しにくい食材を使っても飲み込みやすく、食から生きがいを得られるような知識を学べるようになっています。
この資格を取得することによって得られる知識と技術は、仕事や家庭で必ず役に立つはずです。これからの更なる高齢化社会に備えて、ぜひ資格を取得しましょう。
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